【長】純白花嫁


「さっきそこに」
「そこに?」

 言いかけてやめる。真っ昼間から何を思っているのかと、変に思われるかもしれない。
 何でもないと言い、元来た道に戻っていく。

 フロウは特に疑問をもつこともなく、いつもの澄まし顔で先に進んでいった。


 入り口は大きな円のエントランスになっており、男性が立っている。

「今回はお世話になります」
「あ、合歓です。よろしくお願いします」
「わざわざありがとうございます。ここの神祇です、まだ見習いですので、お気遣いなく」

 見習い神祇といいその男性は真っ直ぐ道を進む。
 ただ、渡り廊下のようで庭に繋がっている。

「こちらで先にお話をしてからお願いします」

 応接室の様なところに通されると、待っていた女の子がたどたどしく、お茶を出す。

「ありがとう、キミはもう下がって」
「はい!」

 男性が女の子に礼を言うと、彼女は笑顔で出て行った。
 出されたお茶は紅茶のようなものだけど、遠慮がちの日本人らしく、なかなか手は出せずにいた。