【長】純白花嫁

 フロウはいつも表情を崩さない。たとえ切羽詰まる時も、哀しい時も、感動する時も。ひどく言えば仏頂面である。そしてそれは今も変わらない。

「改めて話ってなんですか」
「うん、夢の事で」
「夢? 惚気などは勘弁ですから」

 呆れたように言う時も表情は崩さない。
 って、そんなことじゃない。彼女のペースには、未だについていくことができない。

「そうじゃなくて、夢に不思議な女の子が出てくるのよ、わたしに喋りかけたり、一緒に苦しくなったり……。最近それがひどいからなんなのかなって」
「……夢。そうですね、やはりあれと関係しているのかもしれません」

 考える素ぶりをするが、すぐに答えが見つかったようである。
 そんなに簡単にみつけることが出来るフロウもさすがというべきか。

「今日はちょうど神殿に赴こうとしていたんですから、合わせて話しましょう」

 神殿、と口に出して聞く。わたしの頭の中にある神殿と言えば、神社である。それ以外のものは思いつかない。

「この国の重要な機関の一つとして神殿の話は簡単にしたと思います。それで、最近になって問題が起こっているのです」
「それってやばい問題?}
「神寵姫。神の声を直接聞き、国に伝える預言者の役割の女性が現れました」

 しんちょうき。以前、リュイスと町に行った時にちらっと聞いたが、あんまり覚えていない。
 預言者というので、だいたいの役割は想像つく。シロラーナを神から預かった国というくらいだし。

「それが問題なの?」
「初代の神寵姫が亡くなって以来、次代の神寵姫がなかなか現れない、生まれなかったんですよ。だけど、数十年前にその力をもった娘が生まれた。かと思ったら、十年ほどで消えてしまいました。なのに、今になってその娘がまた現れたというのです」
「ちょ、ちょっと待って。現れたけどいなくなって、また現れたってこと? 問題でもあるの?」

 そもそもそんな重要なポストなのに初代以降不在というのも驚く。形だけでも決めておけばいいのに。
 混乱する頭を必死に整理しながら、話を聞いていた。