ひと月ほど過ぎ、あの時の興奮も過去に成りつつあるころ。
 わたしは勉強の合間を見つけては、少しずつ自分に出来ることを始めていた。
 主に作物の品種改良や会議の話合いの傍聴参加など、成果はまだ目に見えてないが、充実している。


 そんなある日、フロウにこの国の巫女について聞かされた。
 政治、経済、外交といった類はもちろん国の大臣やその下の役人によって決められるが、それと同時に大臣すらも介入出来ない独立した機関として、神殿がある。
 そこで働くのが巫女や神祇と呼ばれるものと言うのは、以前少し聞いた。

「神より預けられたこの国では、本来一番重要な機関なんです」
「そうなんだ」
「機会があれば、神殿にも行ってみましょう」

 政治がしっかりと行われる反面、そういった不可思議なものが台頭していることに改めて驚かされる。
 フロウがなぜ今になってこんな話をするのか、少し疑問には思ったが気に留めるほどではなかった。


 窓から見える外は、どこかいつもと違うように思えた。