朝になると、再び今までの日常が顔を出す。
 リュイスは朝早くから執務に出かけたけれど、それを見送れるのもなんか幸せだと感じた。

 そしてわたしは庭に行く。
 以前、そこで植えた野菜や花々。その世話を朝一番に行うのが、日課になりつつある。
 水をためたじょうろをもって、ゆっくりと歩いていた。

 わずかに見えた。

「あ、芽がでている! こっちは少し大きくなったのかな」

 約束は忘れない。この国を、今より暮らしやすい世界にして見せる。
 途方もない挑戦だけど、まず出来ることからやってみようと思ってはじめた、庭園に菜園。
 いつかこの場所が立派になる時が来たら、わたしも立派になれるのかな。
 この場所には、そんな願いを込めていた。


 こうして、わたし自身がこの国の生活について知る第一歩が踏み出されていった。