時間は待ってくれるわけもなく、急いで着替え、城下が見渡せるテラスへと赴く。
普段ではありえない数の人がそこにはいるのだろう。ざわめく声で分かる。
「合歓は白以外も似合うな。薄いピンクのドレスも可愛らしい」
「んなっ、何恥ずかしいことを平気で言っているの! そんなこと言っている暇なんてないでしょう」
落ち着かない。
なのに、リュイスはわたしの手を強く握り、目的のテラスまで早く歩く。
結果、心の準備なんてできないまま、民衆の前に出てきてしまった。
「わぁあああーー」
初めて見たたくさんの人。
歓声があがり、人々の視線はわたしたちに集中する。
どうしよう。
わたしは、いま、完全に、停止している。
「合歓、大丈夫だから」
「親愛なる我が民たち、今日は私達の婚姻を祝福してくれることを嬉しく思う、これからはこの合歓と共に、この国のために尽くそう!」
リュイスがそう言いながら手を振ると、民衆たちは彼の名を叫びながら、拍手をしていた。


