不安な気持ちのままだった。でも時は待ってくれない。
「逃げ出したい」
そんな小さな嘆き声が聞こえたのか、周りの女性たちがあわてたように、話しかけてくる。
「どうしたのですか! 今になって」
「あ、ううん……なんでもないから」
周りに案内されながら、神殿の前まで来てしまった。
やはり外の砂埃が少し目に入る。よく見えないが、それでもこの神殿が神聖なところだというのは雰囲気で分かった。
そこまで大きい建物ではないが、木々に囲まれて、光が反射しているのが美しい。白い大理石のようなもので造られたその場所の近くに、控室の役割をもつ小さな建物がある。
「合歓さまはあちらにて。すでにリュイスさまがお待ちだと思います。お心の準備ができたら、あちらの神殿まで来て下さい」
「あ、はい」
言われたように小さな小屋のようなそこに行ってみる。
扉をノックして、少し開く。
「リュイス、いるの?」
「合歓!」
初めに目に映ったのは、部屋の中ではなく、海の色のタキシードで正装したリュイスだった。
はやり、白じゃないんだって心の中で思った。
それよりも、抱きついてきた彼の方に気が取られてしまう。


