この先の未来に託したい、そんな思いが持てるようになった。
 今、植えているこの種たちもいずれは大きな実となって国を潤すだろう。

 そんな思いで野菜を育て始めてから、少しずつ自分のことを信じれるようになってきた。


* * *

「月日が経つのは早いですね」
「本当に、明後日が待ち遠しいですわ」

 隣で世話をするメイドさんたちが、自分のことのように喜んでくれる。となると、こちらも自然に嬉しい気持ちになる。
 その時、声と共にノックが聞こえた。声から察するにリュイスだけど、どうしたんだろう。

「どうぞ」

 前会ったのが遠い昔のように感じている。

「合歓、ちょっと話があるんだ。いいかい?」
「ええ、大丈夫だけど」

 空気を読んでメイドさんたちは出て行く。それと共に、彼の真剣な面持ちが目に入った。

「管理者にも少し聞いたんだけど、合歓はこの国に残ることを後悔してない?」
「え、急になんで」

 リュイスが悲しく、重い気持ちの表情をしていた。
 つらそうなときはあったけど、それとはまた違うようだった。