【長】純白花嫁

 綺麗なドレスは女としては憧れる。だけど、それ以上に、着ることや脱ぐのが面倒なのはごめんだ。

「はい、これですべて終了です。式の前に完成品を持って来ますからね」

 仕立屋の娘さんはそう言って帰って行った。


 これからの不安と期待と比べると、正直不安の方が大きくなってきている。
 だって、今までの生活ですら普通じゃなかったのに、それ以上になってきて。

「はぁ、帰りたいのかな」

 部屋で一人きりになると、ついそんなことも考えてしまう。これまでの自分にけじめをつけなければならない。
 でも、怖いんだ。普通じゃなくなっていくことに。

「悩んでもしかたない。次は……まだ時間があるし寝よう」

 次起きたら、すべて解決していたらいいのに。なんてことを考えながら、わたしは逃げた。
 結局、足掻いたって無駄なのにね。



 夢を見ることもなく、本当にぐっすりと眠っていた。
 体がようやく目覚めようとしたとき。

――ああ、やっとあえるね! さびしかったよ。

 だれかが、わたしのことを呼んでいる?