【長】純白花嫁

 わたしは生きることも大変だった村や町のこと、自分も少し体験をしたことを話した。
 リュイスは黙って聞いてくれた。

「そんな報告ついでに出来ることはないかと思いながらフロウに話したの。そうしたら……式を挙げたらいいって」

 最後の方はほとんど言えていない。
 こんな言い方じゃ、意味分からないはずなのに。

「なるほど、確実な地位をもって、政策を行うっていうのか」

 ……分かってくれた、今更だけどリュイスってやっぱり皇太子。そう言うことも分かるんだ。

「ならしよう、君の願いでもあるんだ!」
「いや妃になりたいとかそういうことじゃなくて」

 向かい合う形になり、両手を強く握られる。
 恥ずかしい、この状況も、わたしの言っていたことも。

「ただ純粋に結婚したいと思っていたから、そういう思惑があるのが少し残念だけど……もうこれで合歓は離れられなくなる!」
「えっ、あの、その」

 やったぁと呟きながら、抱き付いてきた彼の姿はまるで、母親に甘える子どものようだ。
 体が抱きしめられ、恥ずかしいのに、なぜかわたしの方も、腕を回し、抱き返していた。