「貴女が変えてみせなさい。選ばれた乙女である貴女が妃となり、変革をもたらせばいい。貴女にはそれができます」

 静かな空間で、その声が響く。心にも響く。

「皇子が好きで妃になるもよいです。この国を変えたくて妃になるもいいでしょう」

 さあ、どうしますか。視線が痛い。言葉が重い。
 でも恐れずにわたしは言わなければならない。

「約束してきた。わたしが直接出来なくても、と思っていたけど、直接変えることが出来るならやってみたい」

 それがわたしの答え。

「ふぅ……貴女は成長が早い。期待以上です。今の貴女ならすぐにでも秘玉の主、妃になれるでしょう」

 そう言って、胸元を指差す。そこには前よりさらに大きく、数も増えた秘玉飾りがあった。
 それを見ると、むずがゆい気持ちになる。いや、照れくさい気持ちかな。

「でも残念ながら、まだあと一歩が足りないですね。それは気長に待てばいいでしょうか。」
「どういうこと?」
「……早く約束を果たしたい、妃になりたいのなら先に形式だけでも済ませましょうか」

 それはまた大きく変化する日常のはじまりだった。