風呂から出て、真っ先に向かったのは、フロウのところ。
 ……リュイスにはまだ逢えない。

 近くにいる人にフロウの居場所を聞いて、其処に向かったのだけど、案外近くにいた。


「おかえりなさい、勉強になったみたいで」
「もしかして今来ると分かっていたの?」

 彼女の反応を見ると、明らかに落ち着き、焦りなど見せない。
 その幼いナリとは正反対の大人びた性格には未だに慣れない。
 フロウは答えず、ただひとつ笑みを浮かべている。


「前置きは省くわよ。シロラーナはこんなにも身分差の激しい国なの? ここにいただけじゃあ、気付かなかった」

 小さな村での現実、そして訴え。
 みんなが素敵に暮らせる世界と言うわけには見えない。

「確かに土地によりそういう格差はある。でも周りの国々と比べるといい方に入ります。ここは神よりその言葉を預けられた国、神がついて下さっているのだから」

 教えを説くように易しく言うが、疑問だらけだ。

「そもそもなんで神はこの国だけを……それならもっと暮らしをよくしてほしい」
「その答えはいずれ講義の時間にでも。ただ一つ言えるのは、神からの加護があるとは言え、今この地を治めているのは人」

 つまり、と言いながらフロウが一歩前へと歩く。