“まだ、頭がボーっとする…。”


「ほんまに、大丈夫どす?何や、顔色が優れへんけど…。」


頭に手を当て、ボーッとしている八雲を心配そうに覗き込む薩摩。


薩摩の顔が八雲の顔に急接近する。


もう少しで唇が触れてしまいそうだ。


「も、もう大丈夫ですので…。」


慌てて顔をそらす八雲。


「…ほんならええけど、あんまり無理しはったらあきまへんえ。」


「はい。ありがとうございます。」


ニコッと微笑んで薩摩を見ると薩摩もニコッと微笑んだ。


「ほな、うちはもう行くさかい。」


「え?俺に何か用事があったんじゃ?」


微笑みが一気に冷めた顔へと変わる薩摩。


「ああ。大した用事じゃおまへん。うちが口出さんでもよさそうやし…。」


「あの、まったく思い当たるところがないんですが…。」


しらっとした顔で薩摩を見る八雲。


「ん?気にしはったらハゲますえ?」


「ハゲ!?あっ。薩摩さん!!」


薩摩は、あはははと笑いながら部屋を出ていった。