「あの方の、おっしゃってることは気にしてまへんから。」


味噌汁をよそいながら夏澄は静かに話した。


「そ、そうですよね。…よかった。」


「えらい仲ようなってはりますね?恋人…ではないどす…よね?」


「ゲホゲホッ!!夏澄さん!?んなことあるわけないじゃないですか。」


夏澄から思わぬ言葉が出てきたので、ご飯が思わず噴出しそうになった。


「そうどしたん?ごめんなさい。あまりにも仲よういてはったから…。」


「アハハ…。そうでしたか。でも、恋人ではないですよ。」


八雲は、なぜか胸を張って断言した。


「夏澄さんは、その…恋人とか、いないんですか?」


「うちどすか?アハハ。おったらこないなところで女将なんかやってまへんよ。」


「アハハ。そうですか。…すみません。折りいった事聞いちゃって…。」


少しホッとした八雲。