明るく辺りを照らす月をどす黒い雲が覆い隠し薄暗くなっていった。



ドロドロとした黒い影が大きな塊となってこちらに向かってくる。



向かっている先に誰かが立っていた。


薩摩だ。



薩摩は黒い影を前に跪いた。




「お疲れさんどした。うちは薩摩とゆいます。よろしゅうお頼み申します。さぁ。お宿はすぐそこ。うちが案内します。」


黒い影は何かを言う気配もなく薩摩の後を追っていった。