ツンデレ★カレ

「まいか…まいかは、それでいいの?
あんなにすきですきで仕方なかった桐生のこと、
簡単に諦めれるの?」


「…諦めたんじゃなくて、すきになっただけ、輝くんを」


「それならもっと楽しそうな、幸せそうな顔して言ってよ!
何でさっきからそんな風に下向いて、辛そうな顔してるの?
まだすきなんでしょ!?
っていうか、千賀のことなんか今だってすきじゃないんでしょ??!
なんで逃げるの?
なんで、なんでそんなふうに逃げちゃうの…」


「違うもん、違う、そんなんじゃない。
逃げてないよ…
辛くもないし、幸せだから、あたし…」


ぐっと口角を上げて笑ってみせた。
黒いものがあたしを完全に埋め尽くした。


「これであたしは、順風満帆な高校生活が送れるよ」





それから美紗は何も言ってこなかった。
喧嘩ってわけではない。
だけどお互いに何も話さず、
ぼんやりバスに揺られて
ぼんやり飛行機に乗って
ぼんやりバスにもう一度揺られて
学校に到着した。


あんなに行きは興奮したのに今は堕ちて、堕ちて、最悪まで堕ちた気分だ。


校長が「明日はゆっくり休むように」とだけ言って解散した。


学校まで迎えに着ていた母親の元へ行って
「楽しかったよ」とだけ呟いて車に乗り込んだ。