ツンデレ★カレ

輝くんに優しく肩を抱かれながら、館内に入っていく。


その途中に、後ろに居る桐生くんと一瞬目が合った気がした。



…気がした、だけ。



「まいかちゃん、1つだけ約束して?」

「…約束?」

「そう!」


輝くんの顔がグッと近づく。
唇と唇が触れそうな距離になって急に方向転換。


この人は恥ずかしすぎることを軽くやってのけるプレイボーイ…。


耳に唇が軽く触れて、
「今日一日は彼女になって?
それと、キリュウのことは考えないでね…?」


胸の高鳴りが押さえきれずにただ頷いて、近距離の輝くんを遠ざけるのに精一杯になる。


そんなあたしの姿を見て輝くんは楽しそうに笑って「可愛い」と呟いた。


何でこの人は、あたしをこんなに嬉しい気分にしてくれるんだろう…。
何でこの人を、あたしは好きにならないのだろう…



「…もしあたしが、輝くんのことを本気ですきになったら、
輝くんは、あたしと一緒に居てくれる…?」




「…え?」




「っな、なんでもないっ!!ごめん、違うの、本当になんでもないっ!!」


嫌々と手を振るあたしの動きを静止すると、掴んだあたしの手を輝くんはそのまま口に入れた。


「…っちょっ、な、やめて…なに、ね、…ひゃ…っ」


舌で丁寧に指先をなめられて、背筋がゾクゾクする。