何度も繰り返されるシャッター音にモデルたちの真剣な眼差しが突き刺さる。───時々、その全てをぶち壊したくなる。いつも誰かに見られ、全く知らない人に声をかけられる。私はそれを笑顔で対応しなくちゃいけない。
自由な時間が蝕まれてゆく。休まる時もない。
本当は今、この場から逃げ出したい。
地位も名声も全て棄てて遠くに行きたい。
と、叶うはずもないことをつい願ってしまう。
「お疲れ、心亜ちゃん」
撮影が終わり、休憩していると私の頬に冷たい感触がした。大好きなコーラが目の前にある。
『繭さん』
柔らかな笑顔を浮かべる彼女。私の心は穏やかになる。
「これから、仕事?」
『はい。もうちょっとしたら』
「相変わらず、忙しいみたいだね」
『まぁ、それなりに……』
「何かあったらいつでも連絡してね。飛んでいくから」
『はい』
彼女の最後の言葉に私は笑みを溢す。もしも、私に家族がいたなら、繭さんみたいな優しいお姉さんが欲しいなと思ってしまう。施設育ちの私に家族というものがどういうものか全く知らないのにおかしな話だ。
「それじゃ、またね」
『はい』
そう言って彼女は軽やかな足取りで撮影に戻っていった。
「心亜」
と、その直後に背後から私の名を呼ぶ声がした。私を呼び捨てで呼ぶのは春しかいない。
振り向いたその先には春と先日お会いした川島さん、そして見知らぬ背の高い美少年がいた。
『えっと……おはようございます』
「おはよう、心亜ちゃん。───仕事受けてくれたみたいだね、これで最高の演出ができるよ」
『はぁ……』
私はチラッと川島さんの隣にいる美少年に目をやった。───物珍しそうに撮影スタジオをキョロキョロと見渡している。
「紹介するよ。彼は峰山 戒君。心亜ちゃんと同じでマリアーズの専属モデルに選ばれたんだよ」
「峰山 戒です!よろしくお願いします」
暖かで優しい無邪気な笑顔だった。
「本当はこの後、打ち合わせも兼ねて話したいんだけど忙しいみたいだし、後日改めてしようか。今日は戒君を紹介したかっただけだからね」
『……はぁ』
なんだか一方的に話が進められているような気がする。春に目をやると不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた。
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自由な時間が蝕まれてゆく。休まる時もない。
本当は今、この場から逃げ出したい。
地位も名声も全て棄てて遠くに行きたい。
と、叶うはずもないことをつい願ってしまう。
「お疲れ、心亜ちゃん」
撮影が終わり、休憩していると私の頬に冷たい感触がした。大好きなコーラが目の前にある。
『繭さん』
柔らかな笑顔を浮かべる彼女。私の心は穏やかになる。
「これから、仕事?」
『はい。もうちょっとしたら』
「相変わらず、忙しいみたいだね」
『まぁ、それなりに……』
「何かあったらいつでも連絡してね。飛んでいくから」
『はい』
彼女の最後の言葉に私は笑みを溢す。もしも、私に家族がいたなら、繭さんみたいな優しいお姉さんが欲しいなと思ってしまう。施設育ちの私に家族というものがどういうものか全く知らないのにおかしな話だ。
「それじゃ、またね」
『はい』
そう言って彼女は軽やかな足取りで撮影に戻っていった。
「心亜」
と、その直後に背後から私の名を呼ぶ声がした。私を呼び捨てで呼ぶのは春しかいない。
振り向いたその先には春と先日お会いした川島さん、そして見知らぬ背の高い美少年がいた。
『えっと……おはようございます』
「おはよう、心亜ちゃん。───仕事受けてくれたみたいだね、これで最高の演出ができるよ」
『はぁ……』
私はチラッと川島さんの隣にいる美少年に目をやった。───物珍しそうに撮影スタジオをキョロキョロと見渡している。
「紹介するよ。彼は峰山 戒君。心亜ちゃんと同じでマリアーズの専属モデルに選ばれたんだよ」
「峰山 戒です!よろしくお願いします」
暖かで優しい無邪気な笑顔だった。
「本当はこの後、打ち合わせも兼ねて話したいんだけど忙しいみたいだし、後日改めてしようか。今日は戒君を紹介したかっただけだからね」
『……はぁ』
なんだか一方的に話が進められているような気がする。春に目をやると不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた。
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