パリ・ローマ幻想紀行

この日も太陽がギラギラしていた。正門を入るとそこは、ゴツゴツとした石が敷き詰められた広い広場になっていた。この広場のその奥に、大理石が敷き詰められた、ほぼ正方形の王の広場があり、その三辺に沿って、コの字形に中央棟がある。この中央棟の両側には、南翼棟と北翼棟がある。まるで、鳥の翼を広げたように雄大な王宮である。この王宮は、太陽を浴びて金色に輝いていた。金銭にいとめをつけず、五十年と言う歳月をかけて建造されたこの建物は、これ以上の贅を尽くすことができないという風貌である。贅の限界を見る建物である。
「皆さん。宮廷内は見学者で一杯です。見学する時間が決められております。後三十分ほど待って下さい。右側に売店があります。お土産を買われる方はどうぞそこで買って下さい。集合場所は、この売店の前にいたします。それではどうぞ」
 売店と言っても、絵葉書や、ヴェルサイユ宮殿の本が並べられた小さな店である。伊沙子さんは早速その売店に入り、物色を始めた。集合場所は、この売店の前であるので、安心である。それでも、時間ぎりぎりまで使って、一冊の本を選び、その売店から出てきた。
 ガイドさんの言うとおり、宮廷内は見学者で一杯であった。まず、ルイ十四世の儀礼の一つである、礼拝堂の間から移動を始めた。この礼拝堂は、中央棟と北翼棟との角に位置している。この礼拝堂は、一階と二階を打ち抜いた二層式になっている。そして、礼拝堂の間は二階にあった。この二階の礼拝堂の間から、礼拝堂を覗き込んだ。やはり、礼拝堂は金色に輝いていた。この礼拝堂の間を通って、ヘラクレスの間に入る。