4・パリにて
(1)ヴェルサイユ宮殿
六月十八日早朝、ローマで滞在していたホテルを出る。九時十分のローマ発パリ行きの飛行機に乗るためである。ホテルの玄関に停車しているバスに乗り込み、空港に向かう。その途中で、車窓からコロッセオが見えた。通勤時間と変わらない、僅か二時間の空の旅のためか、それとも花の都パリへ向かう浮き足立った旅行気分の所為なのか、ローマを発つ心残りは、それほど感じなかった。飛行機は、ほぼ定刻通りに離陸した。やはり私は窓側であった。旅行のワンカットとして、離陸から下界に見るローマをビデオカメラに収めて、しばしローマの思いに耽る。伊沙子さんは、相変わらず、恵美さんとお喋りしている。そして、機内食を済ませて、ぼんやりしていた。機内では、フランス語で何かしきりにアナウンスしている。多分何かの案内をしているのだろう。私は、まるで音楽でも聴くかのように、そのフランス語の案内を聞いていた。下界は、緑や黄色に仕切られた田園風景、山間を縫う川や道路が、まるでステンドグラスの模様として見える。所々に住居が点々として、道路がそれを繋いでいる。下界の見慣れた景色である。私は、ゆったりとした気分で、座席に深く背を沈めて、ぼんやりとしていた。伊沙子さんは多分、フランス語の案内の中に『モンブラン』と言う言葉を聞いたのであろう。
「仁さん、モンブランよ」
(1)ヴェルサイユ宮殿
六月十八日早朝、ローマで滞在していたホテルを出る。九時十分のローマ発パリ行きの飛行機に乗るためである。ホテルの玄関に停車しているバスに乗り込み、空港に向かう。その途中で、車窓からコロッセオが見えた。通勤時間と変わらない、僅か二時間の空の旅のためか、それとも花の都パリへ向かう浮き足立った旅行気分の所為なのか、ローマを発つ心残りは、それほど感じなかった。飛行機は、ほぼ定刻通りに離陸した。やはり私は窓側であった。旅行のワンカットとして、離陸から下界に見るローマをビデオカメラに収めて、しばしローマの思いに耽る。伊沙子さんは、相変わらず、恵美さんとお喋りしている。そして、機内食を済ませて、ぼんやりしていた。機内では、フランス語で何かしきりにアナウンスしている。多分何かの案内をしているのだろう。私は、まるで音楽でも聴くかのように、そのフランス語の案内を聞いていた。下界は、緑や黄色に仕切られた田園風景、山間を縫う川や道路が、まるでステンドグラスの模様として見える。所々に住居が点々として、道路がそれを繋いでいる。下界の見慣れた景色である。私は、ゆったりとした気分で、座席に深く背を沈めて、ぼんやりとしていた。伊沙子さんは多分、フランス語の案内の中に『モンブラン』と言う言葉を聞いたのであろう。
「仁さん、モンブランよ」



