パリ・ローマ幻想紀行

アバンダンツァ通りを歩いていて、ガイドさんが指を差して説明してくれた。男性のシンボルが、石畳の一つの石に小さく彫られていた。よく見ないと見落とすところである。
「これは何だと思いますか。売春宿の方向を示しているのです。これからそちらの方へ行きましょう」
狭い路地に入った。この売春宿は、二階建てであった。そして、一階の壁から二本の梁が突き出していて、この梁に支えられるように、二階の一部が道路側に突き出していた。当時の家の原形を留めている小さな家であった。そして、その家の中の一室に入った。その部屋は、小さく感じられた。壁に一体になって、やはり石のベッドが一つあった。
 私達は再びアバンダンツァ通りに出た。
「それでは皆さん、ここからは自由にお帰りください」
私達は、ガイドさんから開放されて、フォロの方へと引き返した。多分当時の人も、お喋りし、店先を覗き込みながら、この凸凹した石畳の上をフォロに向かって歩いたのだろう。建物は壁や柱だけであるが、道路だけは当時のままである。私は気紛れに歩いている伊沙子さんの先になり後になりして、ビデオカメラに収める。