パリ・ローマ幻想紀行

私達は、ガイドさんに案内されて、フォロの柱廊を通り、ティベリオ門をくぐってカリゴラの門のところに出た。この門から真っ直ぐに、メルクリオ通りが見えた。このメルクリオ通りの両側は、少し高くなっていて、歩道になっている。車道の石畳は当時のままであろう。門の表面はすっかり剥げ落ちて、その骨格だけを残し、歩道に面して、建物の壁だけが規則的に残っていて、僅かにメルクリオ通りをかたどっている。フォロに近いこのメルクリオ通りは、賑やかであったに違いない。私はそう思って、先ず石畳をビデオカメラに収め、メルクリオ通りを撮影し、門を見上げている伊沙子さんを撮影した。このメルクリオ通りを正面に見ながら右に曲り、フォルトーナ通りに出る。
「皆さん、大邸宅ファウヌスの家の跡です。豪邸の特徴を全て備えております。入口の門、それに続く中庭、二つの大きなアトリウム、応接間、秋冬夏の食堂、食料品の貯蔵庫、奉公人や庭師の部屋、家畜や荷車等の小屋、があります」
 あまりの広さに、ガイドさんの説明が実感としてわいてこない。ただ、崩れ落ちた壁、石柱、中庭らしき広場、が見えるだけである。私は一応ビデオカメラを構えたが、撮影はしなかった。このフォルトーナ通りから、パン屋の路地に入り、スタビア通りと、アウグスタリ通りの四つ角にあるパン屋に立ち寄った。