パリ・ローマ幻想紀行

「皆さん、門の右側をご覧ください。ビーナスの神殿を建設するために創られた強固な城壁です。右側には豪邸が建ち並び、その下には共同墓地が見えます。海の景色を一望できるところに、豪邸が建っていたのです。当時はもっと海岸が近くにありました。左側の門は歩行者専用の門です。右側の門は、海から塩や魚を運ぶ荷車専用の門です」
 荷車専用の門は、棚で通れなくなっていた。私は、歩行者専用の門に通じる石畳に、当時の人の足跡を感じながら、門の入口にある五段の石段を登って、石造りのトンネルのような門をくぐった。この門を出たところは、幅が約五メートルほどの広さの道になっていて、その両側は高い壁になっていた。当時の人も、この壁に挟まれた緩やかな坂道を私と同じように登ったに違いない。ガイドさんの説明を録音しながら、入口から見た全景をビデオカメラに収め、一行に混じって歩いている伊沙子さんを収める。そして、広いバシリカに出た。
「皆さん、ここがバシリカです。ポンペイは農業、商業や織物等の産業が盛んでした。このバシリカでは、裁判が開かれていました。民事訴訟や商業上の判決などが行われていたのです。最初の頃は、屋内市場としても活用されていた公共の建物だったのです」