パリ・ローマ幻想紀行

従兄弟は先にその店を出て行った。そして、暫くして戻ってきた。
「路の両側に出店を出して、市を開いてるよ。交代するから見てきたら。一つ先の道路だよ」
 私もそこへ行ってみた。鍋、フライパン、各種食器、骨董品、絵、日曜大工用工具、陶器類、飾り物など、ありとあらゆる物が、路の両側に軒を並べていた。地元の人にとっては、よほど定評のある市なのだろう。行き交う蟻が鼻と鼻をぶっつけながら、行列してうごめいているようである。私もその行列の中の一匹の蟻のように、その行列に加わった。出店の店頭に無造作に並べられている、骨董品を見ている私は、観光客ではなく、地元の人であった。
 この路は真っ直ぐに延びており、両側の出店は延々とどこまでも続いている。私は最後まで行こうかと思ったが、時間が結構経っていたので、途中で引き返してきた。私にとっては、この旅行のハイライトであったかも知れない。この市は毎日開かれているのではあるまい。偶然のタイミングである。従兄弟はしびれを切らして言った。
「どうだった?」
「凄いよ、日本ではあんなに大掛かりな市はないよ。後は私が荷物番をするから」
「悪いな」