パリ・ローマ幻想紀行

「ビデオを撮ってあげましょうか!」
その若いカップルは言ってくれた。記録の中に私が入っていないことを気遣ってくれたのであろう。
「ありがとう」
「どうすればよろしいのですか?」
「ここを押すとオンになり、もう一度押すとオフになります」
「解りました」
 私は、彼にビデオカメラを渡し、テーブルに着く。そして、ワンカットシーンを撮り終えたところで、ビデオカメラを返してくれた。
「どうもありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
 四人は久しぶりの日本食に満足する。店を出るときに甥は
「この近くに大きなスーパマーケットがありますよ、地元の人たちもそこで買い物をするんです。きっと安いと思います」
甥は店の前の道路まで出て、私達の姿が見えなくなるまで、見送ってくれた。私は振り向きながらそうした甥をビデオカメラに収める。
 私と従兄弟は、甥にもらったフランスワインの包みと、伊沙子さんと恵美さんの荷物を預かる。二人は店内に姿を消す。店内の混雑は、日本のスーパマーケットと変わらない。
「どうしようか。あの二人のことだから、たぶん二時間以上はかかるよ」
「その予想は当たってるね」
「交代で荷物番をしようか」