また、ルーヴル美術館とオルセー美術館が見えてきた。これが、今回の旅行の見納めである。そして、遠くにエッフエル塔の頭が見えてきた。ブルボン宮を過ぎ、ドゥビリー橋をくぐったところで、エッフエル塔の全容が現れた。まだ、時間が早かったので、ライトアップされていなかったが、船の上では歓声が上がった。旅行を辿っていた私の足取りは、この歓声に打ち消された。船は船着場を通り過ぎ、川の真中に立っている自由の女神のところで折り返した。折り返すときに、自由の女神とエッフエル塔とがゆっくりと重なり、ゆっくりと離れてゆく。全員の視線はエッフエル塔に集中しているようである。カメラのシャッタ音でそれが判る。時計は、丁度二十二時を指している。エッフエル塔は、真赤にライトアップされて、幻想的な姿に変える。天に向かって突き刺す光の柱は、この私ですら幻想的に見えた。



