この奥まったところは狭い部屋になっていた。四方を囲む壁には、所狭しと芸能人のブロマイドが貼られていた。ここの女主人の好みだろう。客を呼び込むようなきらびやかな飾りつけは、この店にはない。多分、近所に住む常連客が立ち寄り、気兼ねなく何時までも会話できる店である。そこには、下町のパリの空気が満ち溢れていた。五人の会話は、コーヒーを飲みながら日本の田舎に花が咲き、伊沙子さんと私は、甥がパリに住むようになった話に身を乗り出して聞き入り、そして質問をした。伊沙子さんは、この雰囲気をビデオカメラに収めてくれた。私が画面に登場する貴重なワンカットシーンである。
「これからの予定は?」
「五時にホテルに集合だよ」
「それじゃそろそろ出ますか」
五人はその店を出る。店を出て、どこをどう歩いたのかは判らない。広い通りに出てタクシーを待ったがなかなかつかまらなかった。ここからモンパルナスまでは、相当離れていたのだろう。このままでは集合時間に間に合わないと判断した甥は、仕事の都合を犠牲にして「私の車を取ってきます」と言って、駆け足でどこかへ姿を消した。暫くして、私達の前に甥が現れて車に乗る。
「忙しいのに悪いわね」と、恵美さんが言う。
「大丈夫ですよ、店に電話をしておいたから」
「タクシーじゃ間に合わなかったかもね。どこかの観光客も止めてたけど、一台もつかまらなかったわ」
「これからの予定は?」
「五時にホテルに集合だよ」
「それじゃそろそろ出ますか」
五人はその店を出る。店を出て、どこをどう歩いたのかは判らない。広い通りに出てタクシーを待ったがなかなかつかまらなかった。ここからモンパルナスまでは、相当離れていたのだろう。このままでは集合時間に間に合わないと判断した甥は、仕事の都合を犠牲にして「私の車を取ってきます」と言って、駆け足でどこかへ姿を消した。暫くして、私達の前に甥が現れて車に乗る。
「忙しいのに悪いわね」と、恵美さんが言う。
「大丈夫ですよ、店に電話をしておいたから」
「タクシーじゃ間に合わなかったかもね。どこかの観光客も止めてたけど、一台もつかまらなかったわ」



