「すみません、オペラ座に行くにはどう行けばよろしいのでしょう」
従兄弟は、そのテーブルの上に地図を広げて指で差した。三人はその指先に頭を寄せて、その内の一人がフランス語で、答えてくれた。
「ああ、オペラ座ね」
そして、更にフランス語で喋りながら、今いるこの細い道の先を人差し指で差し、両手をクロスさせて右に曲るようにと教えてくれた。その交差点を右に曲ったところが、オペラ座に通じるカプシーヌ大通りである。
「どうもありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
身振り手振りで、互いの会話は通じたのである。そのときの三人の笑顔には、初めて外国人と会話して、意思疎通したという満足感に溢れているようであった。恐らく、夕食時の話題になるに違いない。そんな素朴さを感じた。パリッ子の匂いがした一場面である。
カプシーヌ大通りに出て、従兄弟は甥に電話をした。甥はフランスの女性と結婚し、日本食堂を経営しているのである。予てより、オペラ座で待ち合わせすることが決まっていたらしい。オルセ美術館をそそくさと出て、石段に腰を下ろし、私と伊沙子さんをいらいらする気持ちで待っていた原因の一つでもある。
従兄弟は、そのテーブルの上に地図を広げて指で差した。三人はその指先に頭を寄せて、その内の一人がフランス語で、答えてくれた。
「ああ、オペラ座ね」
そして、更にフランス語で喋りながら、今いるこの細い道の先を人差し指で差し、両手をクロスさせて右に曲るようにと教えてくれた。その交差点を右に曲ったところが、オペラ座に通じるカプシーヌ大通りである。
「どうもありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
身振り手振りで、互いの会話は通じたのである。そのときの三人の笑顔には、初めて外国人と会話して、意思疎通したという満足感に溢れているようであった。恐らく、夕食時の話題になるに違いない。そんな素朴さを感じた。パリッ子の匂いがした一場面である。
カプシーヌ大通りに出て、従兄弟は甥に電話をした。甥はフランスの女性と結婚し、日本食堂を経営しているのである。予てより、オペラ座で待ち合わせすることが決まっていたらしい。オルセ美術館をそそくさと出て、石段に腰を下ろし、私と伊沙子さんをいらいらする気持ちで待っていた原因の一つでもある。



