パリ・ローマ幻想紀行

この広場の通路は、中心にある木立を囲むように、円形である。お祭りのように、ぞろぞろと気ままに歩く人の流れは、ただただ画家達の横を流れて行く。画家達は、テルトル広場動物園の檻の中に放たれた動物にすら見える。テルトル広場は、画家が居る広場として、観光地化されているためであろう。さっきの画家の心の内が見えるような気がする。
 この回り廊下のような道を一巡して、建物に囲まれている元のところの空間に集合した。手風琴で音楽を奏でている一人の若い男性がそこにいた。珍しさを手伝ってか、その男性は多くの観光客に取り囲まれていた。大道芸人かもしれない。この空間から真っ直ぐに下り坂が延びている。この下り坂は、三階建て程の高さの家に挟まれていた。そして、その家の間からパリの町が一望に見えた。この下り坂は、最初にトンと走り出したら止まらないほどの急な坂道である。パリの町へ突っ込んで行くような錯覚を覚える。
 この急な坂道を降りて、比較的なだらかな道路に出た。私は小走りに列の前に出て、なだらかな道路を降りてくる一行を正面からビデオカメラに収めた。先頭を歩いているガイドさんがビデオカメラに向かって手を振ってくれた。このなだらかな道を少し下って横切ったところに、フニクレールの長い階段がある。私は伊沙子さんを追い越してこの階段を駆け下り、サクレクール寺院の白い塔をバックにして降りてくる伊沙子さんをビデオカメラに収めた。この階段の下は、広い広場になっている。私も一枚写真を撮ってもらった。そしてバスは、この広場の傍らで待っていてくれた。