ピピピッピピピッ

ガシャンッ


「ぁあ!うるせぇなあ!」


いつもの如く
目覚ましをふっとばした
あたしは

気だるい体を
ムクリと起こした。

お腹をボリボリ
かきながら階段を
降りる姿は

色気の欠片もない。

「うわっあんたライオンみたいよ。」


リビングに入るなり
そう言って眉をしかめた
母ちゃんは

いわゆるヤンママだ。

キューティクルを
完全に失ったあたしの
髪に色素はほとんど
残っていない。

そうしたのは自分だけれど
正直鏡に映った
ライオンが自分だ
と思うと嫌気がさす。



ヤンキー家族に生まれた
あたしは

そういう宿命なんだろう。

母は元レディースの総長。

父は元ヤクザ。

まぁ今は天国に
でも行って呑気に暮らしているのだろうけど。


一つ上の兄ちゃんは
県最強の暴走族、龍王の
総長。

2つ上の兄ちゃんは
ヤクザの下っ腹。

挙げ句の果てに、
あたしの一つ下
の妹はヤンキー街道
まっしぐらだ。


もう本当に
何なのかわからない。