それからあたしの知ってる限りの洸輝の連れまわり全員に電話をかけたけれど、
みんな「知らない」の一言。

まだ洸輝が亡くなって間もないのに…と冷たい対応を受ける始末で。



「本当に全員?」

「全員、だよ」


ほんとはもう一人こころあたりがある。
でも…


「もう洸輝はその子と連絡とってないから」


裕也くんは怪訝な顔をした。


あたしと洸輝は恋人同士、になったのは中学2年生からなんだけど

一度だけ別れの危機を迎えたことがある。


原因は洸輝の浮気。


17歳のとき、ちょうど1年前ぐらいかな。

もうすごくいっぱい泣いたし、傷付けたし傷付いた。
何時間も話し合って
あたしは洸輝と仲直りするって決めたんだけど。

その時何度も
「もう会わないから」って

言ってたから。



だからあたしは信じてる。
絶対会ってないって。




「だからその子に連絡はできない。洸輝を…洸輝への信頼を裏切る気がするから」


そう話すと裕也くんは「そっか。」とゆるく、微笑んだ。