「最期に洸輝さんに会ったとき、なんか変なところとかなかったの?」

あたし逹は近所のファミレスに来ていた。
お客さんはあたし逹の他に2、3組。
時間帯を考えれば妥当なものだと思うけど。





「…変なところは…なかった。しいて言うならやたらと欲しいものはないかって聞かれたよ。」


「欲しいもの?
誕生日かなんか?」


「誕生日も記念日もまだまだなんだけどな…」





思えば、洸輝はサプライズが好きな人だった。
原付き飛ばして旅行に連れて行ってくれたり、
シルバーのリングをプレゼントしてくれたり。いつだっていきなりだったよね。

だから欲しいものを聞かれるのなんて初めてだった。




「だからあたしは無いよって答えたの。
そんなすぐ思い付かないし」



そりゃ欲しいものはたくさんある。
好きな化粧品ブランドの新色のアイカラーとか、
雑誌で見かけた最近のトレンドの靴とか。
でも洸輝に買ってもらうってなったらそんなのじゃ駄目だって思ったから、
言えなかったんだ。




「もしかしたら洸輝さんは亜美さんを家に届けた後また駅ビルの方へ戻ったかもしれないね。なんかプレゼントを探しに」



「…あたし洸輝の友達まわりにあたってみるよ。」


あたし逹は、小学校からずっと一緒だから洸輝の友達ならだいたい知り合いとか友達だった。



そう。
ずっと一緒だったから。

だからこそ、
わかんない。


洸輝のことなら誰より知ってるつもりだったから


わかんないよ。



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