母は「帰るね~」と言って帰って行った。
さや先輩は「大丈夫?」ばかり言っていた。
もう一人来てくれたのは、バレー部で一番仲が良い彩夏は、私の唯一の相談相手で、親友。
「千春らしくないよ~。蜜柑ゼリー食べてないん?」
私の好物蜜柑ゼリー。
嫌味なほどに、病食のメニューにはない。
高西先輩は病室に入ってからずっと黙っていた。
しばらくして、さや先輩は彩夏とひそひそ話をし始めて、ニッコリ笑った。少し気持が悪い。
「高西~。私らちょっと帰るからさあ…バイバーイ…千春~お大事に~★」
「え、さや先輩?!」

病室は少し無言。
よりによって個室なんて。