平安恋物語



「悪い話ではないから、どうか泣かないでくれ。お前を正室に迎えるという件が出ているんだが、俺の一存で決めるわけにはいかないから、お前の意志を聞きたいんだ」


正室に……?


「しかし正室の座には葵様が……」


「そのことか。確かに俺も不安なんだが、葵は既に死去しているため、上からもなにか言われることはないはずだ」


「でも、私なぞが正室にだなんて。他の側室の方々になんと言われるか……」


「あれらはどうせ父が勝手に決めた女だろ。俺はお前がいいんだ。誰にも心を開けなかった俺を癒やしてくれたお前しか」


月様……─────