平安恋物語

憂side


月が空に上り、酉の刻が近づくと、御簾に人影が浮かび上がった。

「憂?入るぞ」


御簾を上げ中に入ってくる。昼間に見た時と着物が変わっていた。


先ほどからもやもやしていた胸が、月様のお顔を見ただけで、まるで嘘のように消えた。


「月様、髪に葉が……」


「ん?取って」


足を折り、顔をこちらに近づけてくる。


ドキドキと心臓がうるさく高鳴っている。


どうか月様に気づかれませんように……