立ち上がると、裾をキュッと憂が掴んだ。 意外なことに驚いて目を見開いていると、憂は淋しそうに眉を下げ、切なそうな瞳で俺を見つめていた。 「そんな顔をするな。行きずらくなるだろう」 頬を挟むように手を添え、桃色の唇に己の唇を寄せる。 案の定頬を熟れた苺のように赤くしている憂を見て笑みがこぼれた。 「また酉の刻にまたくる。それまでいい子で待ってろよ」 そう告げると嬉しそうに微笑んだ。