平安恋物語

月side


憂を側室に迎えてから、俺は宣言通り一度もあいつには会いに行っていない。


あいつの第一印象は子供。


どっからどう見てもガキだ。


まあ、まだ14と幼いせいかもしれないが、やはり夫を持つには幼すぎる。


あれじゃ、夜の営みもまだわからないだろ。




それから2年後……
俺はお前をいつ忘れたかも忘れるほど、優を記憶から消し去っていた。








弓道場で弓を射っていると、友人の樹(イツキ)も弓を持ってやってきた。


「よう、月。お前しばらく見ないうちにまたかっこよくなったんじゃないか?」


「そうか?」


「そうだろ。宮内じゃ有名だぞ」


「へぇ……」


バシュッと的に矢が刺さる。


「さすが、お見事♪ってかさ、あの可愛い憂ちゃんとはどうなってるの?」