平安恋物語



ほっと一息つくと、父は今まで見たことがないくらい、怖い顔をして私を見た。


「憂、お前に大切な話しがあるんだ」


その面もちから、ただならぬ雰囲気を感じた。


「なんでしょう」


「私と妻、亜希は、誰かに命を狙われている」


「え……?」


「いつかはわからぬが、近いうちだと思うのだ」


「そんな……っ」


そんなことって……


気づけば、ぽろぽろと涙が零れ落ち、十二単に雫が光っていた。