その夜は、月が空に大きく姿を現わしていた。 木々がザワザワと犇めき合い、これから行われる“儀式”を可笑しとばかりに騒ぎ立てた。 月明かりの乏しい畳の一室、少女は般若の面を着けていた。白装束を身にまとい手にはしっかりと短刀を握り締められている―…‥ 『忌み子は、死なねばならぬ』 どこからともなく聞こえるおぞましい声に、少女は短刀をそっと首に突き付けた。 『其れが、こが血筋が慣みどもなり…』 少女は息を止め、短刀で己の首を裂き斬った。