あれからも、坂口君とゆっくり話す機会がなくて
あたしの心は…
「よっ、上原さん。手伝うよ。」
放課後、1人で黒板を消していると
藤沢君が黒板消しを手に取り手伝ってくれた。
「あ、ありがとう…」
「いいって。気にするな。」
そう言って黒板を消す姿が、いつかの
黒板消しを手伝ってくれた坂口君の姿が重なった…。
思わず、黒板を消す手が止まった…。
「どうした?」
藤沢君が心配そうな顔で聞いた。
「えっ?あ…うぅん。なんでもないよ。」
「なんでもないって…顔じゃないけど…」
「えっ…?」
「なんか…あったのか?」
「うぅん。大丈夫。」
「そっかぁ?」
「うん…」

