生まれて初めて一目ぼれをした私は、合コンの最中、もう全く成海さんしか目に入らなかった。

成海 壮一郎。

大学4年生の22歳。

あまり聞きなれない、九州なまりの声。

きりりとした表情とうらはらに、友達を一緒に嬉しそうにはしゃぐ姿。

笑う時、声を裏返して本当に楽しそうに笑う。

どんどんどんどん、成海さんに引き込まれていく。

とにかく一緒にいたい一心で、なるべく成海さんの側に座る。

彼が私に話しかけるとものすごく嬉しくなり、彼が他の子と話そうものなら勝手に一人で傷ついていた。



綾乃ちゃんはモデルの経験がある程美人でスタイルがいい。

笠原さんもぱっと人目をひく雰囲気があるし、加奈ちゃんもその明るさから防大生と盛り上がっていた。

謙遜するでも卑屈になる訳でもないが、冷静に見て一番女として冴えないのは、この私だった。

見た目にしろ、中身にしろ。

でも、ここで落ち込んでいる場合ではなかった。

何か思いつきで駆け引きする余裕もなかった。

とにかく既に成海さんのことでいっぱいだった。

この場限りで成海さんとは会えなくなってしまうかもしれないのだから。