埃まみれのゆびで愛するのはうたかたにゆれる月であった。夜の隙間をぬうように、なぞった輪郭は数知れず、噴出す血の色さえも滲むような、夜のひととき。交わす言葉に色はいらない。できたら、笑ったところをみたかったのに。