チナとは高校の入学式の日に友達になった。

あの日、私は地下鉄に乗って、学校へ向かっていた。
満員だったから、痴漢にあったら嫌だなー、と思っていたが、運悪く私がターゲ
ットにされた。お尻をさわられた。怖くて声をあげることもできなかった。
しばらく我慢をしていたら、
「なにやってんだよ、てめぇ」
と声が聞こえた。私のお尻触っていた手はびくっと、触るのをやめた。

声の方を見ると、目がくりんくりんした茶髪の女の子がこっちをみていた。

ありがとう、と頭をさげると、いいよ、いいよ、と顔を横にふった。
この子が小谷チナだった。

チナは私と同じ駅で降りた。私はチナにお礼をいった。

「本当にありがとうございます。私…、怖かったけど、声もあげることできなかったし、本当にたすかりました。

「大変だったねぇ。手が見えたけど、どいつの手かわからなかったから、とりあえず怒鳴ってやりました。私は小谷チナ。**学園の新一年です。よろしく。あなたも**学園でしょ?制服同じだもんね。一年?」

「え、あなた、一年なの?その頭で入学式いくの?」
私は驚いて、思ってしまったことを口に出してしまった。
そしてきれいに茶色に染まった髪をまじまじとみた。

「そうだけど?前からこの頭だもん。」
チナはあっけらかんと言った。

二人とも笑ってしまった。

「私は吉崎ナオコです。私も新一年です。よろしく。」
私も自己紹介をした。