パリの恋

「不釣合い!?誰が決めた?誰がそんなこと言った?たとえ誰かがそう言ったとしても、僕はそんな風に思ったりしない」
「無理よ・・・うまくいきっこないわ。あなただって、きっと後悔する」
ロイははっきりと首を横に振る。
「今、君をこのまま帰した方が後悔する」
「ロイ、お願い・・・」
ロイは小夜に詰め寄った。誰が見ていようとかまうもんか。

「・・・じゃあ、君は本気じゃなかったんだね!?僕をその気にさせて、内心笑って馬鹿にしていたんだ。このイギリス人は、1人で舞い上がっているわってね」

その言葉を聞いて、小夜は眉を寄せて涙を浮かべた。

「そんな・・・そんなはずないじゃない・・・。私だって、ずっとあなたの側にいたいわ!あなたを置いて去るのがどんなに辛かったか・・・!」

小夜は涙をぼろぼろ溢して声を上げた。
ロイは小夜の震える肩を抱きしめた。

「小夜・・・好きだよ・・・」
小夜は何も言わず、ロイにしがみついた。

「大事なのは僕たちの気持ちだろ?頼むから、僕を受け入れて」
「知らないから・・・。私なんかを選んで、失敗したって思っても・・・」

ロイはそれを小夜が承諾したのだと受け取り、そっと頭にキスした。

「タクシーの運転手に感謝だ」
「え?」
「君が大使館に行ってる間に、本当は待たずに帰ろうと思ってたんだ。けど、運転手に待つように言われてね。『女性を悲しませてはいけない。急いでいるわけではないなら待っているべきだ』って」
小夜はようやく笑顔を見せて、そうだったの・・・と言って涙を拭く。

「それなら、私のパスポートを盗った悪い奴にも感謝しないといけないことになるわね」「そうさ。僕らの出会いには、あらゆる人が関わっている。君のお母さんも、君のお父さんも、そしてゴッホもね」

小夜は頷いた。