パリの恋

シャルル・ ド・ゴール空港に着くと、まっさきに日本の航空会社のカウンターに向かう。
小夜が出て行ってそんなに差はなかったはずで、今頃搭乗手続きをしているはずだった。しかし小夜は見当たらない。
手当たり次第あたるしかない。
空港を走る。こんなに必死になって走るのは久しぶりだった。

エールフランスのカウンターを通った時だった。
しゃがんで鞄をあさっている小夜の姿が目に入った。
小夜はおそらく航空券を探しているのだ。

ロイはホッとして、しばらく小夜の背中を眺めてから声をかけた。

「・・・何か、お困りですか?」

小夜がハッとして顔を上げる。

「ロイ・・・!」

ロイの姿を見ると、慌てて立ち上がった。
ロイは手に持っているチケットを振った。

「これをお探しですか?」
「それ・・・!」

小夜は驚きと困惑で言葉が出ないようだった。
ロイが小夜に近寄る。

「君がこうやってこっそり帰ってしまうんじゃないかと思ってね」
「そんな・・・ひどいわ」
「ひどい?ひどいのは君の方じゃないか。何も言わず、僕が寝ている間に帰ろうとして」「だって・・・」

小夜は泣きそうな顔でロイを見上げた。

「もう一度、僕に会いにくると誓わなきゃ、このチケットは渡せない」
ロイはまっすぐ小夜を見つめて言った。

「そんな・・・。そんなの無理よ。お願い、チケットを返して」

小夜は抵抗した。

「だめだ」
「お願い!」
「君は僕の気持ちを充分理解してるはずだ。君だって僕と同じだろう?離れたくないと思っているはずだ」

小夜は首を横に振った。

「だめよ・・・あなたと私じゃ、不釣合い過ぎて・・・」

ロイは小夜の腕を掴んだ。