「あれ、父様どうしたの?」


「ああ、なんでもない。」



無言で睨まれ、宗治は明後日の方向を向いた。



“貴様、静乃を泣かせていないだろうな?”


“泣かせてねぇよ。”


“どこぞの馬鹿息子は泣かせてくれたがな。”



聞こえないフリをし、宗治はすたこらさっさ、静乃に見送られて木更津を去ったのだった。