紅き天

…いじりすぎたか?



後で伝蔵に殺されるな。



宗治は反省し、少し優しくなった。



「まあ、そうか。
ありがとな、あんな馬鹿を想ってくれて。
父親としてありがたいよ。」



でも、この2人は可哀想過ぎる。



決して結ばれない。



宗治は、昔から実の娘のように可愛がってきた静乃を優しい眼差しで見た。



「思い切って言ってみたらどうだ?」



これも酷な話かもしれない、と思いながら宗治は言った。



それでも、短い間でも、宗治が当主をしている間は恋人でいさせてやれる。



宗治なりに気をつかったつもりだ。



「どうだ?」


「そんな…。」



更に真っ赤になった静乃。



可愛いな、やっぱり。



それだけにあの伝蔵と基子の子だとは思いたくねぇんだよな。