紅き天

静乃は長い間黙っていたが、宗治は辛抱強く待った。



「あの…。」


「ん?」



小さな声で、静乃は切り出した。



「疾風が結婚するって。」



尻すぼみに言葉が消える。



「ああ、そのことか。」


「私、知らなくて…。」


「知らないもなにも、お前らが喧嘩した前日に決まったんだ。」



え、と静乃は俯いていた顔を上げた。



「そうなんですか?」


「おお、疾風もその見合いの日に知ったんだぞ。」


「…疾風、お前には関係ないだろ、って。」



あの野郎…。



何が「俺は悪くない。」だ。



帰ったらぶっ飛ばしてやる。