紅き天

「嫌がっている?」


「お前、気付いてないの?」



今度こそ疾風はため息をついた。



「なんか、可哀想な奴。
触られそうになって嫌がってんのに、これを拒否と言わずになんとするよ。」



家光は大分ショックを受けたようで、目を見開いている。



「貴女も。
疾風がこんなに口汚く接してるのに、どうして離れないの?
普通、好きなひとが自分を見て嫌がってたら、静かに消えるものよ。」


「うるさいな!
あたしは疾風が好きなの!」


「……。」



静乃は何か言い返そうと口を開いたが、適切な言葉がなかったのかそのまま口を閉じた。



「なあ、お前ら聞け。
勝負しないか?」



家光、花、照日以外にも静乃も不思議そうに疾風を見た。



「勝負って?」



代表して静乃が訊く。



「照日は退いとけ。
家光と俺、静乃と花で。
で、勝ったほうが好きな相手を奪う。
負けたら一切関わらないと誓ってもらう。」


「こてんぱんにしてやるから覚悟しな。」



息巻く花を華麗に無視し、静乃は疾風に先を促した。