紅き天

「ふざけてねぇでこっち来い。」



疾風が凄むと、静乃はより一層瞳を恐怖で震わせた。



「お前、それ偽善ってんだよ。
それでいいと思ってんのか?
俺はどうなんだよ。
お前は城でしくしく泣いてりゃいいが、俺は?
独り残されて、当主やって?
俺の人生最悪だ。」



俺は静乃と一緒だからこそ楽しいのに。



なんでこういうことするかな。



「静乃、お前怒られてるぞ。」


「てめぇは黙れ。」



茶化す照日を睨み、俺は家光に視線を移した。



…あれ?



瞬きもしない。



どうなってるんだ?



眉をしかめる俺を見て、照日はクスクス笑いながら言った。



「今、自由に動けるのは私達だけさ。
花と馬鹿はお前の凄みにやられてる。
静乃は、まあ、な。」



静乃の目から涙が一粒零れた。



「ゴメンなさい…。」