紅き天

「照日、いるんでしょう?
今すぐ出てきて、隠れられてるのは余計気味が悪い。」



静乃は少し前から気配を感じていた照日に呼びかけた。



見つかるというのは予想範疇だったのか、素直に照日は姿を現した。



「小娘、さすがだねぇ。」



ニヤリ、とさっき見せた笑みを浮かべる照日。



「貴女も母親だったのね。
意外。」


「私にも実感はないよ。」



クスクスと照日は笑った。



「静乃、そいつは誰だよ?」


「照日。
花の母親で、私を家康に会わせた女で、色々私に危害を加える女。」


「あんまりな紹介じゃないか。」


「これで十分よ。」



静乃はギュッと疾風の手を握った。



不安なんだろうか?



いくら虚勢を張っても、怖いものは怖い。



襲われたって言っていたし、さっき腹を押さえていたのもきっとこいつにやられたんだろう。



静乃を安心させるつもりで疾風はギュッと手を握り返した。